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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第48章 【番外編】エトワール


「お世話になりました」
他の親戚連中共にも挨拶が一通り終わり、子供達の相手も散々したるるがやっと解放された。
るるらしい丁寧なお辞儀を一人一人に向け、また来年も顔を出せるようにと前向きに言っていた。
そうなるのは当たり前だ。
こっちが手放す訳がない。
そう言いたかったが、どこか照れ臭くて言えなかった。
最後に、じいちゃんが見送りに来てくれた。
「身体、冷やすとまた治んねえぞ」
気まずくてそっと視線を外した。
「孫に忠告したいことが沢山あってな。
だが今日は一つにしてやる」
「…なんだ?」
「入籍前の曾孫は、ノーウェルカムじゃ」
「…っ!」
気付かれていたのは、誤算だった。
「……おう」
短く返事すると、ガッハッハとじいさんらしい笑いを上げて戻っていった。
「ああ、忘れとった。
来た時にあげるべきだったわい。お年玉」
懐からポチ袋を出してこちらに投げてくる。
金だったら吹き飛ばされる、と慌てて前に出てキャッチした。
「直接渡せよ!あぶねーだろ!」
てかお年玉って年齢でもねーし!と後から脳内で思ったが、少しでも小遣いは欲しい。
欲には勝てなかった。
「よかったですねー!」
と横でるるがにこにこするが、手に持ったそれは、金の形状を明らかにしていなかった。
「なんだ?」
と、その場で開けると、中身は…、
金箔つきのコンドームだった。
「……いらね…」
「中身なんでした?」
「…ゴミ…」
残念ながらその日の晩にしっかり使われたのは言うまでもない。
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