第47章 【番外編】白の王子と黒の騎士
「わかってても、イヤなんだよ…。
スガにはもっと笑っていて欲しい、幸せになって欲しい。
でも、俺じゃそれは出来ないんだ。
お前しか出来ないんだ。
それが、どんだけ悔しいか、わかるか?
るるさんも烏養さんも殺して、何もかもなかったことにしたい程だ」
「…ご、ごめんなさい……」
「謝られることじゃない。
俺が、勝手にイラついてるだけ」
「…そっか…」
敵意の正体が、やっとわかった。
それは、スッキリしたと同時に、とてもモヤモヤした。
私が解決出来るのに、私では何も出来ない。
「あ、勘違いするなよ。
俺は別に、スガに恋してるわけじゃない。
彼女もいるしね」
「うん…」
「でもスガに死ねって言われたら死ぬと思う。
スガに殺されるなら甘んじて受け入れる」
「そ、そう…」
あまりにも、重たすぎる、友情よりも深いソレ。
澤村くんのどろっとした部分。
それがわかっただけで、この修復不可能な人間関係に、少しだけ前向きになれた。
「菅原くん、凄くいい人だし、澤村くんの気持ちもわからなくないかもしれない」
「そう思うなら早く別れて付き合え」
「それは、出来かねます、スミマセン」
「じゃあ二度と誉めるな、おこがましい」
「ご、ごめんね?
憂さ晴らしになるかはわからないけど…、私に暴言吐いてスッキリするならいくらでも言って、ね?」
「………そういう趣味じゃない」
「何の話してんの?二人とも」
噂の張本人に声をかけられる。
「菅原くんの話だよ」
「え?は?」
真っ白な肌が赤くなっていくのが可愛い。
「スガはいいやつだよなって」
「そ、そうかな、普通…だよ…」
しゅんとしながら近くに座ってくれる。
仲良さそうにしている二人を見て、これも一つの友情の形なんだな、と、黒い笑みを浮かべている澤村くんを見て思った。
「そういやお前、あの腹黒と話してたけど苦手って言ってなかったか?」
「うーん、少しだけ、和解しました」
「よかったな」
「面と向かって暴言吐いてくれるようになりました」
「和解、とは?」