第46章 【番外編】スイート&ビター2
そして当日はやってきた。
2、3日冷えていたが、この日は快晴で、気温は高めだった。
結局どこへ行こうとは決めず、のんびり家を出て駅前に出る。
そういえば今日の服装はいつもより大人しめで、意外な印象だった。
それはそれでよく似合う。
予約していた店は、いわゆる隠れ家風で、民家の一部になっているお店だった。
いつも割かし和食が多いが、イタ飯とやらのコースだった。
予想外に美味い店で、かなり満足感があった。
量も程よく、ワインも滅多に飲まないがそこのは今でも思い出せるくらいには美味かった。
一応サプライズサービスも付けてもらっていた。
何が来るか俺本人もわからなかったが、可愛らしいタルトが積み重なっている洒落たデザートプレートが付いてきた。
「かわいい……」
こちらもかなり味は良い。
甘いものはいつも大して入らないが、ぺろっと平らげてしまう。
「いいお店でしたね、ありがとうございます」
深々と礼を言われるが、毎日してもらってることに比べれば、全然足りないくらいだった。
別の店にケーキを取りに行き、カラオケかホテルか、なんて言ってたんだが、どこも満室だった。
(考えることはみんな同じか……)
「終バス間に合いそうですし、帰りましょっか」
るるはご機嫌に振り向くと聞いてくる。
まあ、家でのんびりいつものコーヒーを飲むというのもまたよし、とバスに乗りこんだ。
と、ここまででわかる通り、すっかりお互い、プレゼントを買ったことなど忘れていた。
少なくとも俺は。