第45章 【番外編】スイート&ビター1
冬は恋人の季節。
うっすら積る雪を窓から見ながら、もうすぐクリスマスとかいうデカいイベントが来ることに焦りを隠せない。
去年はるるが受験だった為、スルーしてしまった。
赤点さえ取らなきゃいいや、という思考だったところから3年でいきなり大学を目指すとなると、それなりの量をこなさなきゃいけなかったようで、必死に追い付こうと寝る間も惜しんで机に向かっている姿を見ていた。
そんな中でお祭り騒ぎをするのも申し訳なく、夜にお袋さんケーキだけ食べてその年は終わったのだ。
及川家ではどのように過ごしていたのだろうか。
聞く勇気はさすがになかったが、今年もるるから何も言ってこないあたり、そういうイベントにはかなり疎いとみた。
しかし。
(あれ?俺、彼女いたとき何してたっけ…)
全く思い出せない。
というか、冬まで付き合った女がいただろうか。
春に出会い、夏は大会やら合宿やらで放置、秋に別れる、なんていう運動部あるあるを各所で散々やらかし、結論今のまま来てしまったのではなかろうか?
結局、みなみちゃんとかいうのは、幻想に過ぎないのかもしれない。
アレはきっと、忍耐の塊だ。
(アイツもか……)