第40章 アップルアンドシナモン4
「姉妹校研修でどうしても1人欠員が出てしまって…
もう君にしか頼めないんだ…!」
新学期早々に教授に呼び出されてそんな話をされた。
交換留学というほどでもないが、うちの学校と姉妹校で、生徒数人を交換して研修するのが習わし行事だそうだ。
規定人数に満たないと希望者も研修を受けられなくなるという。
「構いませんよ、私でよろしければ」
「ほ、ほんとかね……!?
かわりに交通費は私が出そう…」
「そんな…!」
そういうわけでトントン拍子で決まってしまった行事を各方面に連絡し、キャリーを買って荷物を詰めた。
「で?どこ行くんだ?」
「東京です」
「そらまた……」
「そんなわけで繋心さん、3ヶ月私はいませんが、お留守番お願いします」
いつも一緒にいるのに、離れるとなると悲しくて寂しくて、思わず泣きそうになる。
「またすぐ帰ってくんだろ、泣くなよ…」
笑いながら私の頭をぽんぽんしてくれる優しい大きな手。
「ううっ、寂しいよぉ…!」
「ばーか、向こう行ったらどうせ楽しいんだから」
「でも、でもぉ!」
お金と券を一式揃えて、寝室にゆったりと誘われる。
「3ヶ月分、たっぷり可愛がってやる…」
「帰ってからも3ヶ月分ですからねっ!?」
今日はいつもより濃厚な夜の帳が降りた。