第39章 【番外編】かたむいたてんびん

ふー、と荒い呼吸が聞こえると、私のナカがきゅって締まる。
「ぁ…」
薄手の生地に手が入れられて、綺麗に傷を触られる。
思い返せば、繋心さんはいつも、背中を触るけれど、見ないように行為をしていたように思う。
服を着たままか、布を被せてくれるか。
それを思うと、好きという気持ちが溢れて止まらない。
私だけが好きだとたまに不安になって仕方なくなる。
でも、そういった優しさが、私を大切にしてくれているんだと。
気持ちいいのと嬉しいのと、涙が止まらなくて、甘えた声と共に嗚咽が混じる。
「大丈夫か…？」
「う、うん、っ！ごめんなさい、嬉しいんです…っ」
「今更、抑えられねえからな…！！」
「きて、きてくださいっ！！」
私の声に呼応するように動きが激しくなる。
奥の入り口にぐりぐりとされると、電流の他にひんやりするような気持ちよさがある。
それを掴むと、熱がじゅわっと押し寄せる。
「あ、ああっ…ふぁぁぁ…っ！」
ひくひくと身体とともに、ナカがそのカタチに合わせて痙攣する。
頭の奥がチカチカとして目が回る。
更に奥に入り込もうとする繋心さんに、まだ達したばかりの身体が反応してしまう。
「やぁぁぁ！！だめ、だめぇっ…！！」
「ほら、またイくぞ…」
「やあっ！こわ、れちゃ、……っ！！！！」
びくん、と一際大きく身体が揺れる。
声も出ないくらいの大きな波が押し寄せて、息が詰まる。
「んんぅっ…！！」
じゃばっと身体から水分が出ていくのがわかる。
また奥へ入れられると、そこでゴム越しにドクドクと出てくるのが伝わる。
「…はっ」
繋心さんの掠れた声が色っぽくて、ついまたお腹に力が入ってしまう。
顔が見たくてゆっくり振り返る。
男のヒト独特の匂い。
それでもどこか重たくなったコロンのような香りがして、頭がじんわりととろみがかかっていく。
昼間にした決意は脆くも崩れていく。
好きすぎて、我慢なんて出来ない。