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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第39章 【番外編】かたむいたてんびん


お風呂から上がると、素朴で美味しそうな和風のパスタが出来上がっていた。
外の暑さですっかり塩分を持っていかれていた身体に、醤油の風味が効いて美味しい。
我ながらなんでも出来る自分の恋人を見つめて、幸せな時間だと思う。
他愛のない話をしているとあっという間に夜が更けていく。
(そうだ!私、着てるんだ!)
ふとお風呂上がりに昼間に買った物を身に着けたのを思い出す。
久々に自分から背中を見せるのは緊張する。
そのせいでなかなか勇気を出していつものように誘うことが出来ない。
「…っ」
ぱくぱくと口を開くが、段々といつもどう誘ってるのかが思い出せなくなってくる。
テレビを見ながらビールを飲んでいるいつもの繋心さんに、なんて声をかけていいかわからない。
不思議に思ったのが、私に視線を合わせる。
「いつもベタベタ甘えてくんのに、どーした?」
「…あ」
「何か隠してんのか、おい」
「隠してはいません」
引っ張られて胡座の上に横抱きで乗せられる。
ゴツゴツした太股に私の足が乗る。
急に近くなった顔に照れが隠せない。
「…あのっ」
「あ?」
大きな掌が私の胸元を探って膨らみに沿って撫でてくる。
「んっ」
意図せず出た甘えた声が自分で恥ずかしい。
いつもの悪戯めいた顔、喉で笑う声がする。
お腹の奥がくすぐったくて、早く触って欲しくて、私から首に手を回してキスを迫る。
それは段々と深くなり、頭がぼんやりと霞んでくる。
「…あ、んぅ」
お互いの湿った髪をかき乱しながら、獣みたいに口内を荒らされる。
「んんん、んっ」
答えようとすればするほど、私だけが深みにハマって落ちていく。
「だめ、もぅ、…っ」
あと一歩のところで慌てて離すと、絡まっていた糸がほつれて落ちる。
「うれしそ…」
「だって…!」
「一回イっとけ」
覆い被さるようにまた口付けられ、激しく攻め立てられると、余韻で呆気なく私は果てる。
お腹からびくびくと電流が流れて、熱がどろっと垂れていく。
息を整えていると、ぐっと怒ったように見下ろしてくる。
「その顔、そそるな」
「きゃっ」
床に組み敷かれて部屋着の前をあけられる。
真っ白なレースがひらっとはためく。
「あっ……」
透けた生地からうっすらと私の身体が浮き上がる。
繋心さんは何も言わずに、私の下着以外を剥ぎ取っていく。
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