第39章 【番外編】かたむいたてんびん
「るるちゃん彼氏と同棲してるんだよね?」
「うん」
「どんな人なのー!?」
「えっと、10くらい、上かな?」
「えー!?年上!?すごい…」
女の子たちに囲まれて食べるケーキは、なんとなく幸せだ。
こんな生活を私は夢に見ていたのだ…!
(同じ中学高校の人いないだけで気楽だなあ…)
放課後のティータイム、リーズナブルだけれど贅沢なひととき。
「仕事何してんの?」
「実家のお店と、あとバレーボール教えてるよ」
「えー!?るるちゃんせっかく可愛いんだからもっとイイ人捕まえた方がよくなーい!?」
思いもしなかった意見に吃驚して噎せる。
お茶を慌てて飲んで一息つく。
「そ、そうかな?私には勿体ないくらいだよ!」
「めっちゃイケメンだとか?」
「カッコいいよー!」
と携帯の画像一覧から繋心さんの画像を探して拡大する。
「………」
「………」
「カッコいいよね!ね!?」
「あー、うん…」
「るるちゃん、せっかく可愛いんだからもっとイイ人がいいんじゃない?」
何故か不自然に会話が振り出しに戻る。
「え!?ダメだった!!?」
「るるちゃん、ヤり目的とかじゃない?」
「や、むしろ私の方が…」
言いかけて慌てて飲み込む。
女の子の友達をここでまたなくす訳にはいかない。
昨日も夜遅くまでおねだりしてしまって、
『もう勘弁してくれ…』
『もいっかい、ね?』
というやり取りをしてしまったのをふと思い出す。
少しは控えよう、と今日の目標をこっそり立てて、咳払いをする。
「失礼を承知で聞くけど、どこがいいの?」
「ノロケてー!」
「ダメ!絶対みんな好きになるからっ!」
「ならないって」
「この後迎えに来るよ?その時に直接会って…。
でも、みんな好きになったら、私、困るから…!」
「ないない」