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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第37章 【番外編】ゆうべはおたのしみでしたね


昨夜、あまりにも暑くてエアコンをガンガンにきかせた。
が、るるには寒かったようで、
「ジャージ、借りていいですか?」
と申し訳なさそうに聞いてくる。
「ああ、一旦切るか?」
「うーん、切るとあっついので、上着きますー」
やっぱ女子は冷えやすいんだなー、と思いながら、大きめの俺のジャージを着ようとする彼女に見とれる。
(萌え袖、萌え裾、と誰かが言ってたな… )
指先しか見えない手は幼子のようで、すっかり短パンが隠れた脚は何も履いていないようだった。
ファスナーを閉めると布団に寝転ぶ。
「ふふ、繋心さんとくっついてるみたいで、幸せぇ」
と蕩けた顔で言われる。
急にソレがとんでもなくムラっとくる。
形容しがたいその欲求と、ここ数日の禁欲要請。
「…んだよ、本人がいるのに?」
釘を刺されたばかりだと言うのに、小さな四肢に馬乗りになる。
見下ろすと、シーツに広がるまだ濡れている髪。
頭の奥で血の流れていく音がする。
「脱げ、俺があっためてやる」
「……来て…っ」
真っ赤な顔と潤んだ瞳でそんなことを言われたら、すぐに理性なんて吹き飛ぶ。
「ぜってー声抑えろよ…っ」
なんて言ってたのは十数分前だったはず。
濃厚なキスをして、いつもみたいに入念に白い肌を貪って、ギンギンに昂っているというのに。
「おい、入れるぞ……」
さっきまで悶えて息苦しそうにしていたるるは、寝ていた。
「は?」
それはもう気持ち良さそうに。
「るるさん、新手の拷問?」
頬をつねようが乳首を捻ろうが一向に起きる気配がない。
「もしもし…」
諦めて服を元に戻し、自分も脱ぎ散らかしたものを着直す。

なんだこの情けない流れは……。
気持ち良さそうに寝ている相手に無理矢理最後までシようとも思えず、布団をかぶる。
恋人がいるのに自分の右手を使う気にもなれない。
そもそもあまり自分でヤるのは好きじゃない。
終わった後の虚しさがなんとも苦手だ。
「そりゃあ、疲れてるよな…」
プロでもないのに大量の調理はなかなかの苦労だろう。
それに加えて、おやつや差し入れも用意してくれる。
及川と暮らしてたのもあって、男子の胃袋のタイミングをよくわかっていると言うか。
別のことを考えて誤魔化そうとするが、なかなか寝れそうにない。
海の音とエアコンのゴンゴンという慣れ親しんだ音を集中して聞いた。

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