第34章 アップルアンドシナモン3
「…!?」
「ちょっと」
「ここで見せつけてやろうか、全部」
服に手がかかる。
一つずつブラウスのボタンが外される。
「や、やだっ…!」
慌ててその手を制止しようとするが、私の力では全く構わず、どんどんと下りていく。
「…っ」
「いつもみたいに腕回せよ」
おずおずと言われた通りにする。
恥ずかしさと怖さで震える。
「顔、見ろ。どこ見てやがる」
「ご、ごめんなさ…んんっ」
熱い舌が無理やり絡んでくる。
ねっとりしたその行為に、徐々に足の力が抜けてくる。
「や、あっ…!」
「るる……」
倒れそうな私を壁に押し付けて、崩れないように股下に膝を割り入れられる。
身動きできないのをいいことに、また口内を貪られる。
「あ、はぁっ……」
「くっ…!!アンタさ、どういう…っ」
「お前とすら、こんな熱いコトしてねえだろ?
そういうことなんだ、わかったら、帰れ。
二度と来るな」
「…こっちから、願い下げよ、この変態!!」
彼女がこちらを一切見ないで怒って帰っていく。
慌てて繋心さんが玄関を開けて中に入る。
「ったくもー!」
「こ、こっちの台詞です!」
呆れた声に、したことに対して思わず突っ込みを入れてしまう。
「悪い悪い…これが一番手っ取り早くてな…」
「ふぇ!?」
「アイツにとっては、俺が浮気相手。
1回か2回、軽いノリでヤっただけだっつーのに、なんであんな固執してんだか…」
「…っ」
身に覚えがありすぎて、きゅっと身体が縮む。
「…これで、チャラだろ?
お前の裏切りと、コレで」
「けい、しんさん…」
全部お見通しだったのかもしれない。
私のしたことに対する優しすぎるフォロー。
ああ、こういうところ、好きだな…って、改めて実感する。
「んで、それだけで許すと思うなよ。
ナカの形がしっかり俺に戻るまで打ち続けてやる」
「ひっ…!!」
前言撤回。
好きでも、限度がある…!
「せ、せめて、おふとん…」
「ダメだ」
玄関で全身強打したような痛みで目が覚める覚悟を決めるしかないようだった。
「そういえばなんでわかったんですか?」
「本人からメールきた。
『お前の彼女最高!早く別れろ!
次泣かせたら東京連れてく!!』って」
「世間せまい…」