第33章 アップルアンドシナモン2
「ごめんなさい、引き止めちゃって…」
「大丈夫だって!!電車があるなら鈍行で帰るぞ!!」
「うん…」
駅までせめて見送りに付いて行かせて貰った。
「いい思い出、作らせて貰ったしな!!」
「…っ!」
「またなんかあったら、連絡くれ。
いつでも飛んでく」
「も、もう、ないようにします!」
夜のことを思い出して顔が熱くなる。
「残念だ!!」
手を振ると木兎さんは笑顔で改札を通った。
ふと、冷静になって、携帯をポケットから取り出す。
電池はとっくに切れていた。
一番近くの広場のベンチに腰掛けてる。
これからどうしよう…。
考えてはいるのに、なにもまとまらない。
昨日の埋まらない傷、やってしまった自己嫌悪、あ、学校、初めてさぼったな……。
繋心さんは、昨日もしもあのまま帰ってきてくれたら、きっと、たくさんたくさん謝ってくれたと思う。
凄く優しいから。
今も心配してると思う。
でも、私の居場所は本当にあるのかな?
どうして欲しい?
どうしたら許せる?
許せるって、あんなコトした私が許す権利なんてある?
許してくれるのかな?
追い出される、のかな?
自問自答し続けても、答えなんて出るわけないのに、怖くて電話すら出来ない。
「もう、やだ…」
やっぱり私はあのとき消えるべきだった。
いなくなりたい。
いっそ、消えてしまいたい。
誰の記憶にも残らず、このまま……。
夜、ほとんど寝れなかった。
日差しが照りつける。
そのまま、鞄を抱き締めるように、ベンチで少しだけ眠った。