第33章 アップルアンドシナモン2
「お願い!るるちゃん!」
「え………」
「合コンの数合わせにご協力を…!」
「それは、さすがに……」
「お願い!!」
「一次会だけでいい!なんなら抜け出してもいい!」
「うーん…」
同じ講義でやっと女の子の友達が出来た。
雑用ではなく、きちんとしたお願いは初めてだった。
なるべく答えてあげたくて、悩みに悩んだ挙げ句に、
「わかった!行く!」
と返事をしてしまった。
裏切るみたいで申し訳ない気持ちになる。
でも、ふっと、昨日の女性の姿が目に浮かぶ。
私と違って、きちんと手入れされた美しさ。
センスのいい服、可愛らしい顔立ちと仕草。
私に無いものばかりだ…。
別れたら、彼女と戻るのだろうか?
嫌なことをつい考えてしまう。
『ご飯、駅前で食べて帰ります』
一言メッセージを送り、
私は廊下をトボトボと歩いた。