第32章 【ほぼ本編】アップルアンドシナモン
「あのな…お前もそういうヤツがいんなら、俺なんか放っておいて…」
「浮気されてんの」
「あっそ、俺には関係ない」
「だから仕返してやろうと思ったの。
でも思ったより、難攻不落で、逆に燃えてきちゃった」
「はあ?」
「ねえ、あんな純情そうな娘よりさ、私と…イイコトしない?」
そう言って、床に倒される。
ベルトを外されるのを無理やり止めた。
「ふざけんのもいい加減にしろ」
「っ!」
さすがに本気で怒ってるのが伝わったのか、怪訝な顔をされる。
「はいはい、ごめんなさい」
「わかったなら帰れ」
「帰らない」
「クソ、本性やっと出しやがって…」
「何がそんなにいいの?」
面倒な女だ。
突如対抗心を燃やして、俺を見てくる。
「夢中なんだ、お前の入る隙間はねえ。
これで満足か?」
「……そう」
「そうだ…、と、やっぱ迎えに行かないとな…」
案の定、バスを逃した連絡が来る。
実家まで戻って車で迎えに行くことになる。
原チャリで向かうから結局コイツをどうにも出来ない。
「もう帰れ。わかったな?
俺は実家寄ってから駅前に行く」
「え?準備出来てないわよ」
「ああ?じゃあもういい、鍵閉めなくていいから準備したら帰れ」
慌ててそう言い残して出る。
結局1日コイツに潰された。
頭が痛い…。
「なんて言い訳すっかなー……」
はあ、とため息をついた。