第31章 【番外編】まだ坂道を登っているようで
夜10時、アイスを食べていると珍しくチャイムが鳴る。
(繋心さん鍵忘れたのかな?)
先生との飲み会でこの時間になるとは聞いていた。
そこになんの疑いもなく、私は戸を開ける。
「おかえりな…」
「るるー!!!!」
「わ!え!?」
勢いのまま押し倒してきたのは、義理の兄徹さんだ。
「え?徹さん?!なんで!?」
幸せが戸惑いに変わる。
「るる、会いたかったよ……綺麗になったね……」
「徹さん、……気色悪い…」
一緒に住んでた頃、散々だったのに…。
あまりの彼の変貌ぶりにドン引きである。
「たでーまー」
「あ!」
「あ?」
押し倒されてる私を見て帰って来た繋心さんに青筋が浮かぶ。
「及川、てめぇ…!」
「るるー…可愛いね…」
「………誰だコイツ」
「です、よね」