第29章 【番外編】かごめ
るるは自我を戻すと、床に伏せて声を殺して泣いた。
ツラいのか、悲しいのか、怒っているのか、俺にはわからない。
「うちに帰ろう?もっとイイコトしてあげる」
鞄に入れてたタオルで綺麗に拭いて、服を着せた。
縛っていた手は赤く痕が付いている。
ぼんやりとした頭は何を考えているんだろうか。
「でも、たまには外でこういうのもイイね?
またヤろうか」
そう言うとひくっと身体が固まり、一瞬怯えた顔をする。
それはすぐに、諦めたかのような顔になる。
「反抗しないお前はつまんないな」
独り言のように言うと、腕に抱えた体温は、眠るように気を失った。
頬にかかる髪すら愛おしい。
追い詰めて追い詰めて、やがて旅立つことすら諦めてくれよう。