第28章 【番外編】見せたくないし見られたくないし
「ったくさー!俺の彼女なんて、キャバ行っただけで浮気者ー!だぜ?
やってらんねーよ。
こっちだって行きたくて行ってんじゃねえってのに」
「それはお疲れさん」
「俺んとこもさー」
飲み屋でザワザワと色んな話が聞こえる。
バイトのるるを迎えに行こうと暇潰しに参加したが、皆愚痴の言い合いだった。
「繋心の彼女はどーなんだよ?」
「大学生?だっけ?」
「…別に」
話を振られて真面目に考えてみる。
アイツは俺が店とか行ったらどうなるか…。
「……怒られはしないか…
『行ってあげてください!彼女たちも生活がかかってますから!』とすら言われそうだな…」
「……そういう気持ちで行くとこじゃない…」
「まあ、アイツ、変なんだ」
凄く濁してそう伝える。
恐らく風俗に行くと言っても、
『なるべくお金落としてあげてくださいね?』
とか、言われそう。
いや、むしろ。
『不満でしたか?私の技術では至りませんか!?』とか余計な心配かけそう。
色々妄想するが、そういうとこユルいのは予想が出来た。
だが逆も多いに有りうるということだ。
この前の倉庫しかり、今後も正直放っておけない。
許されるなら自宅から一歩も出したくないほどだ。
「温厚そうだよね、彼女」
「そういや怒ってるの見たことねーな」
「羨ましいな…」
「逆に不安にもなるぞ?」
「そうかな?」
嫉妬するのはいつもこっち。
余裕がないのも俺。
いつも翻弄されて、振り回されて、不安になるのは俺。