第23章 ひかりはでぐち、でぐちはあなた
繋心さんはその話を聞いて、ふーっとまたいつものように部屋に煙を満たしていく。
ホテルのギラギラしたライトは、私の話とは不釣り合だった。
「私のこと、怖くない…?」
恐る恐る聞く。
「全然」
「……」
「大変だったな」
「………」
「俺の愛情も上っ面か?」
「ちがいます!!!
ぁ、うん、ちが……」
「言いながら素に戻んなよ!」
私は恥ずかしくて慌てて布団を被る。
酔いが覚めた。
全部、全部話してしまった。
一気に後悔が押し寄せる。
「兎に角、お前は生きなきゃなんねえんだよ。
及川んとこの両親にも親孝行しねえといけねえし、俺とも…ま、そのうちな」
繋心さんも結局恥ずかしがって、後半ごにょっと誤魔化した。
私には今までない道だった。
「親孝行……」
「死んだご両親よりよっぽどご立派じゃねえの。
なんで親戚なんかやってたか不思議なくらいだ。
学校出て、孫の顔でも見せに行こうぜ。俺と…」
「!!!」
今までで一番テレることを言われて、私は目も合わせられなかった。
「なんでそこで照れんだよ」
「だって……繋心さん、真剣に言うんだもん…」
「いつだって俺は真面目だ」
その無愛想な横顔が少し赤くなるのを見て、やっと光が見えた気がした。
長い迷い道、出口はあと、もう少し。
「繋心さん…すき…」
「知ってる」