第3章 背中と甘酒
「コーチ、なんか今日はイライラしてません?」
「あ?んなんじゃねえよ…」
「絶対イライラしてる……」
呆れられながら、今日の練習メニューを確認した。
そりゃあイライラもする。
美味そうな獲物をみすみす逃した。
しかも同じ屋根の下にいる。
だがこちらから詰め寄ると、いつどこから逮捕されてもおかしくない。
向こうからOKが出るまで俺はひたすら待つしかない。
もしかしたらこのまま約束の日が来て、何も出来ずお別れかもしれない。
それは正直避けたい。
認めたくはないが、残念ながら俺は彼女に夢中だった。
(あー!ヤりてえ……)
「そこっ!!ボール見やがれぇ!!!!!」
「やっぱりイライラしてんじゃん…」