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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第23章 ひかりはでぐち、でぐちはあなた


私には、きちんとした両親というものは、恐らくいない。
あまり覚えていないが、
「多分これがお前の母親だ」
と言われて紹介された女性がいた。
あまりにも興味がなくて、きちんとした返事もしていない。
その女性は、滅多に姿を見せないが、お母さんと一応呼ぶことにした。
たまに来てくれるのは子供ながらに嬉しかった。
父親だと言い張ってる男は、いつも私に怒っている。
暴力は当たり前だし、何かというと、口でスることを命じてくる。
逆らうことは出来なかった。
気持ち悪くて怖くて、時々吐いていた。
どろっとしたものが喉を通る感覚や、あの人のむせかえるようなにおい、何もかもが怖くて汚くて。
小学校も怪我が目立つからとまともに通わせて貰えなかった。
お陰で私は友達の作り方も録に知らない。
生理が始まり、胸が出てくる頃、あの人はよく家に『お客様』を連れてきた。
「お客さんを喜ばせたら、飯をやろう」
飢えていた私は何の疑いもなくソレをした。
教えてもらった通りに丁寧に。
確かに次の日には美味しいご飯にありつけた。
『お客様』は日に日に増えていく。
相手を出来るようになるころには、私はソレに対して何も嫌悪感を抱かなくなっていた。
1日にまとめて何人もお相手することもあった。
無愛想な私は怒られ、殴られ、どうしたらいいかわからずにいた。
震えながら、照明のついたお部屋で泣きながら過ごしていた。
お母さんが、『媚び方』を教えてくれた。
笑い方や甘え方を教えてくれた。
それはとても役に立った。
吃驚するほど、ご飯やおやつ、たまに玩具を買って貰えた。
やっと褒められた。
やっと私は役に立った。
なんて喜んでいたのに、私がいたお部屋は突然閉まった。
今になってわかったが、恐らく経営者たちが逮捕されたのだろう。
私の天国は地獄になった。
あの人の暴力は悪化した。私なんていらないと言った。
そんなの当たり前だ。商品になれない私なんて、価値はない。
毎日怒声や罵声を浴びる。
もう、こんな生活、おしまいにしよう。
この人が生きてても私みたいな子が増えちゃう。
この人も、私がおしまいにしよう。
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