第21章 煙の奥
「やっぱ、色っぽいよ!」
日向が耳打ちしてくる。
「…っるせーよ…」
顔が熱くてまともに見れない…。
レジを終えたるるさんが、
「じゃあ、いこっか」
と俺たちに言いながら横を通った。
ふわっとした女性らしい香りと、煙草のにおいがする。
それで、なんとなく、繋がる。
「るるさん」
興醒めだ。
何が恋愛だ。
及川さんもコーチも。
俺も。
なんでこんなに、ツラいことを。
「どうしたの?」
「烏養さんに、コトが終わってからいちいち吸うなって言っといて下さい」
「っ!!!」
「え?あ、におう?
大変だ、私が校則違反にされちゃうね」
「逮捕されない為にも」
赤くなって固まった日向を引っ張って、理解してくれたるるさんに手を振ると、再び帰路についた。
「お前の勘だけは、スゴいな」
褒めたつもりではいるが、恐らく聞こえていないだろう。
「もうるるさんがいつもより色気あっても絶対に教えんなよ…」
「えー!?もう、そこは共有してくれよー!!!」
「絶対イヤだ、お前一人で抱えろ」
「ムリムリムリムリ!!!」
「無理でも!」