第21章 煙の奥
及川さんがちょくちょく妹だと言って連れてきたのが、るるさんだ。
興味がなかったから、あまり干渉したことはないが、時折見せる笑顔は色気があって、緊張した。
及川さんは凄く執着してて、いつも見せつけるように一緒にいた。
必ず高校も同じになるだろうと思っていたのに、るるさんはあっさり及川さんの手を離れ、しかも家出までしていた。
「他人のモノが入った女なんかいらない」
あの時の一言で察しがつかないはずはなかった。
そして整理出来ないほどショックを受けた自分の気持ちにも。
(…最悪だ…)
るるさんは、コーチと付き合ってから驚くほど明るくなった。
これが素だったのかもしれない。
綺麗な笑顔は眩しくて、なんとなく、あの人でよかったと思えた。