第1章 あなたには私しか居ないんですよ
先日の1件以来本当に審神者部屋には行っていない
行けばお仕置きの意味がなくなるから
もちろん部屋は外から南京錠をつけた
俺が許した時が主の自由を得られる時
それまではどこまでも苦しめばいい
俺以外の男を呼んだ罰だ
「おー長谷部珍しいのぉ!」
「たまには息抜きをしてこいと主命でな」
「主のお世話係も大変ですもんね」
「主は何一つ一人で出来ないからな」
「そいつぁ驚きだ」
久しく皆と食事を取るために
広間に来てみれば
どいつもこいつも主の事を聞いてきやがる
お前らの主ではなく俺の主だ
心でそう思っているが口には出さない
言ってしまえば次の言葉はきっと
疎ましいだからな
「主様っておしゃれしてるかなー
僕ちょっと会いに行ってくる!」
「乱!主は今一人で頑張っているんだ
そっとしておいてくれ」
「お世話係さんこわーい」
ケタケタと笑う乱
行ってはいけない理由が分かるか?
一人で頑張っているに間違いはないが
何を頑張っていると思う?
罰に耐えることだよ
どんどん自分の顔が歪んでいく
きっと他の本丸の長谷部とは全然違う
もっと爽やかで忠犬の様な長谷部が多い
俺は主と愛し合った所から
段々とおかしくなってしまった
だがその歪みすら
主と俺しか知らない秘密
秘密とは何故こうも楽しいんだろう