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まったりの向こう側

第6章 0630


「見た目…」



見た目… 見た目…



ふわふわのモヘアはこっくりとした蜂蜜色。
つまるところ、全身蜂蜜色だ。

つぶらな瞳は深い茶で、その周りを明るい空色が囲んでいる。



蜂蜜色… 空色…



なんだこれは…?

どこかで見たことがあるような…



「!?」


まさか…!!!



「これからよろしくね?"エルヴィン"」



「待ちなさい。
 それは…誰のこと、かな…?」



「エルヴィンだよ?」



くすくすと、変わらず可愛らしいナナバの笑顔。が、今はどことなく、蠱惑的に見える。

…まさか、遊ばれて…

いやいやいや、まさか……



「!?」



今、熊の目が光ったような…



「月明かり、綺麗」



「あ、あぁ…、そうだね」



気のせい、か。

そうだ、熊だぞ?
しかもぬいぐるみだぞ?

考えすぎ…



キラン



「っ!?……、…ナナバ」



「ん?」



「あ、いや、その…、そう!そうだ!その熊はかなり大きいが、君の部屋で置く場所は確保出来ているかな?よかったら、私の部屋で預かろうか?」



不自然な上に苦しい言い訳。

だがこのまま彼女の側に置いておくのは、私が落ち着かない…!



「ん~…」



頼む『お願いしてもいい?(はぁと)』そう言ってくれ…!



「だ」



「だ??」



「大丈夫、と言いたいんだけど…
 お言葉に甘えてもいいかな?」



よかった…!



「勿論だとも!さ、貸してごらん。さぁ!」



「ちょっと、エルヴィン…こわい…」



む、まずい……
不信がられてしまう。



「すまない。自分が君に抱かれている気分になってしまって、つい興奮した」



「くす。相変わらずヘンタイなの?
 まぁ、私はいいんだけど」

「はい、君はパパのところ。
 …エルヴィン、よろしくね」



いま、なにか、きこえた



「エルヴィン?」



ぱ ぱ ?










気付けば、差し出された熊と一緒にナナバを抱きしめていた。

だめだ、今日はこのまま終われそうにない。

君と、もっと…





お願いだ。小さく、頷いてくれないか…?













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