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まったりの向こう側

第5章 check the answer



翌日





「ナナバ」


びくっ


「どうした…? そんなに驚いて」


「な、何でもない」


見るからになんでもない"ことない"表情を浮かべたナナバは、壁を背にそろそろとエルヴィンから距離をとる。


「こら、逃げるんじゃない」


「逃げてない、逃げてないよ!気のせいだから!」


「そうか。だったら丁度いい、答え合わせをしよう」


「!」


「私から逃げていないのなら、出来るはずだ」


そう言うや、エルヴィンはあっという間にその腕の中へとナナバを閉じ込めてしまった。



「うぅー……」


「唸ってもだめ」


「…エルヴィンの、馬鹿」


「馬鹿で結構」


「…エルヴィンの、変態」


「ありがとう。大変名誉なことだ」





暖簾に腕押し、とはまさにこの事。

(そうだ、昨日の段階で分かってたはずなのに)

エルヴィンには勝てない。

しかしそう思いつつも、僅かに体を強張らせては細やかな抵抗を試みる。



「さて…
 昨日は白だったね。よく似合っていたよ」

「となると、だ。
 今日はそれ以外、そうだな…」





(やっぱり、効果なし…)

ナナバのとる抵抗など、エルヴィンにとっては何処吹く風。やはり全く意味がない。



「ピンク」



「!!!」



「当たりかな?」



そして、いとも容易く正解に辿り着く。



「なんで、分かったの…」


「大好きな君の事だ。何でも知っていたいんだよ」



まるで答えになっていない。

だが、ナナバはそれに気付かない。そんな余裕などないから。



「さ、今はここまでにしておこうか」


(今…?)



ナナバの耳朶を軽く食みながら、エルヴィンは容赦なく追い討ちをかける。



「…見て答合わせをするのは、また今夜に…」


「っ!?」


「鍵は持っているね?」



俯き、黙りこむ。


どれだけそうしていただろう。


どこからか小鳥の羽ばたきが聞こえた時、エルヴィンの視界では淡い金色が揺れていた。


それはナナバが小さく頷いた証。



「…いい子だ。いつでもいいよ、君の都合のついた時においで」










それは、新しくできた二人だけの約束。



今日も、明日も、明後日も。



どこまでも、秘めやかに、甘やかにーー…











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