第5章 check the answer
「エルヴィン、おはよ…、……―――!」
ベッドへ横向きに寝転がるナナバ。
「何してるの…!?」
置かれた状況を理解すれば、ボリュームを落としつつも、抗議の声を上げる。
「あぁ、君の胸を触っている」
だがしかし、そんな憤慨の声音にも怯まずにしれっと答えるエルヴィン。
その間も彼のその腕はナナバを背後から抱きしめるように捉え、その手はシャツの上から丁寧に胸を撫でている。
いや、撫で続けている。
…ナナバが目覚める少し前から、今の今まで。
ずっと。
(また、勝手に…!)
ナナバは恥ずかしさで顔を真っ赤にする。
いつも通りの反応。
「君は本当に、可愛いね」
エルヴィンは余裕の笑みを浮かべている。
こちらもまたいつも通りの表情。
しかしこう、いつもいつも、エルヴィンのペースに呑まれていてはだめだ。
そう思ったナナバは珍しく強気に出た。
「…っ、もう、触らなくていい!」
「そう言われても困るな…。まだまだ足りないのだが」
「止めてくれないなら、もう触らせないから!」
「そうか。残念だが仕方ない」
(やった…、諦めた!)
珍しくも大人しく手をひっこめたエルヴィンに、ナナバは心の中でガッツポーズをとる。
(私だって、流されてばかりじゃないんだ。やれば出来る!)
初めての展開に、ある種の高揚感に浸るナナバ。
だが、それも束の間だった。
「よし、ではこうしよう」
そう呟いたエルヴィンは、ナナバの肩を後ろから引き寄せ仰向けにさせる。
「…まだまだ、詰めが甘いよ?」
それは、まさに、蕩けるような笑顔。
(…嫌な、予感)