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まったりの向こう側

第4章 甘い香りのその果てに


触れる鼻先と、掛かる吐息。


エルヴィンは夢中でナナバの首筋をかいでいる。



「団長、くすぐったいです」



くすくすと笑って言うナナバに、エルヴィンは遠慮無しにそのままきつく抱きしめた。



「ナナバ…、このまま…」


「…!」


まさか、アレ、のことだろうか。

まだまだこういったことに恥ずかしさが抜けないナナバではあるが、言わんとしている事は何となく想像できるようにはなった。



「だん、……エルヴィン、大丈夫?」



何とか落ち着かせたい。

とりあえず抱きしめ返そうと思うも、片手に紅茶缶を持っているため出来そうにない。

どうしたものかとあいた手をエルヴィンの腰に添えた、その瞬間。



「しよう?」


(やっぱり…)



予感は的中した。


たいてい、二人きりの時。

ナナバはまだ気付かないが、少し甘えるような態度でエルヴィンは懇願する。

ナナバが欲しい、と。



「…エルヴィン、落ち着いて」



ナナバは恥ずかしさをこらえ、ぽんぽんとエルヴィンの背中を叩いてやる。

どうにか開放してくれやしないかと。

…アレが、嫌なわけではない。
むしろ嬉しいと思う。

だが、場所が場所だ。
まさか団長室でなど、出来るわけがない。


「ナナバ…」


「!!!」


エルヴィンがさらにしっかりと抱きしめ直せば、先程かいだあの香りがナナバの鼻腔を満たしていく。



「エル、ヴィン…」

(なに、これ…?すごく甘くて、くらくらする…)



コトン



ナナバの手から缶が抜け落ち、空いた両手は無意識にエルヴィンを抱きしめ返す。



「エルヴィン、いい匂いがする…、さっきよりもっと」


「そうか…。そうかもしれないな」



エルヴィンは馴れた手付きでナナバの服を脱がせていく。

こんな場所で、そう思いはしてもナナバも抵抗はしない。

ただ、全て脱ぎきってしまうのには些かの恥ずかしさがまだ残る。


「まって、これだけは…」


はずされたボタンはそのままに、できるだけ見えないようにと両手でシャツを引き寄せた。



「わかった。その変わりに、…こうしようか」



ナナバの背後には、執務机。

エルヴィンはシャツの裾から手を滑りこませると、彼女の腰を抱き上げそのまま机に座らせた。



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