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まったりの向こう側

第2章 Please give me...


「さて、どんなご褒美をもらおうか」

「ないから!ないからね!?」

「…よし」


何事か思い付いたのだろう。
ナナバを横抱きにすると、そのまま優しくベッドへとおろす。


「せっかくだ。私からもご褒美をあげよう」

「……は、え?」


気付けばエルヴィンはナナバの顔の横に両手をつき、まるで閉じ込めるようにして見つめている。

…逃がさない。そう言っているかのよう。



「君から私へ。私から君へ…。お互い損はしない、素晴らしいじゃないか」



「あっ…!」





洗いたてのシーツに、いくつもの波がよせる。





その後、ご褒美は夕食の時間まで途切れなく続くのであった。










fin























わふ!

「おい、ナナバを見なかったか」

「……」

ミケと、その隣を並んで歩く大型犬に呼びとめられるも無言のリヴァイ。

そして、清掃中という体で人払いがされている男子棟最上階。



「そうか……」


付き合いの長さから状況を理解すると、ミケはゆっくりと目を伏せる。


「……これは、エルヴィン行きだな」


今、彼が小脇に抱えている書類の束。
それらはナナバが処理するはずだったもの。


「ついでだ、お前の分も足しておけ」

「…?」

「どうせ今日だけじゃ終わらねぇよ」

(確かに)


無言で小さく頷いたミケは、机上にあった書類を加えるべくゆっくりと振り返る。


「…リヴァイ、お前はどうする」

「今日はいい」


スン


「中々にいい茶葉のようだな」

「あぁ」

「後で、一杯もらえるか」

「…茶菓子を忘れるなよ」


振り返らず、ミケが頷く。


ワンワン!

「あぁ、お前も一緒だ。心配するな」

ミケは傍らで主張する犬へも頷いてやる。



行くぞ。というミケの一言を合図に、それぞれに遠ざっていく大きな背中と小さな背中。そして左右に振れる尻尾。










リヴァイの執務室にて。

夕食後、無言の会話と共に紅茶をすする二人の姿。
その傍らには、のんびりと欠伸をする大型犬。





そして同じ頃…





「これは…。ふむ」

(ご褒美の代償なら、お安いものだ)



団長室にて。

書類の山を前に腕まくりをするエルヴィンの姿があった。















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