第13章 たまにはいいでしょ?
「………」
明るい、ような気がする。
「……ん…」
そうか朝になったのか。
でもまだ、もう少しだけ…
「………」
布団、丁度いいな。
それもそうか。一晩自分で暖めたんだ、自分にぴったりで当然。だからもう少しだけ。
「まだ寝る?」
「うん…」
だってせっかくの休日じゃないか。
飽きるまで寝るなんていう贅沢、こんな時でないとできない。
「そうだね、それがいいよ。
ゆっくりおやすみ」
??
「いつもお疲れ様」
あれ、この声は…
「…ん、んん…」
「あ、ごめん。起こしちゃったかな」
ぼやける視界に、それでも分かるすらりとしたシルエット。
「ナナバ…」
ベッドに左手をつき覗き込むようにして俺を見ているのは、間違いなく君。
布団をかけ直してくれたのか右手はそっと、優しく、俺の左肩へと添えられている。
でも、どうしてここに…?
いや違う。居て当たり前。ナナバは俺の恋人で部屋の合鍵も持っている。いつでも来ていいと伝えているし、実際時々遊びに来てくれているよね。
…いつも楽しみにしているんだ、君に会えるのを。
そう伝える度に恥ずかしそうにするのがまた可愛らしくて。そんな君が見たくて。
見たかった顔。聞きたかった声。感じたかった温度。
まさか朝から君に会えるなんて…嬉しいよ。
「おはよう、ナナバ」
「おはよう」
起こしに来てくれて有り難う。起き抜けのせいか案の定舌がうまくまわらなかった。でもお礼は直ぐに伝えたい。どうしてかって?
気にしないで。そんなシンプルな一言と一緒に返してくれる柔らかな笑顔。俺にだけ見せてくれるこの笑顔が見たくて。
「いいお天気だよ」
「そうか、それはよかった」
ベッドへと腰掛けながら、晴れていることを教えてくれた。俺も同じようにして隣に座る。
もう何度目かな、こうしてここに並んで座るのは。今日と同じで君が俺の部屋に来てくれるのは決まって休日かその前日。(しかし翌日休みでも立て込んでいる時には来ないのだが)
彼女はすごいんだ。決して邪魔にならないようにと、俺のスケジュールを全て頭に入れているらしい。流石だな。
「天気がいいと得した気分だよね」
あぁ、また笑った。可愛いな。