第12章 オアシス
「エルヴィン、ごめんね。
…ありがとう…」
今、背を向ける彼は、自分と同じ。
そう思えば、気付かないふりで隅に追いやった黒いナニカが、しゅるしゅると音を立て消えていく。
「ナナバ、それは俺の台詞だ。
いつもごめん。
側にいてくれて…ありがとう」
調査兵団団長、という肩書きなどなければ、群がる有象無象は一笑に付していた。
だが、自分の求めるもののためには、それを手放すわけにはいかない。
只の人になることは、できない。
きっとそんな自分と共に歩むナナバには、またこんな風に泣かせてしまう日が必ず来る。
それでも…
「ナナバ
これから先も、一緒にいてほしい」
「うん…ずっとエルヴィンの側にいたい」
「ナナバ……」
「お願い、私でいいって、
側にいていいって、直接感じさせて」
今度は自らベッドへと寝転がり、両の腕を伸ばしてはエルヴィンにねだる。
「もしかしたら、我慢がきかないかもしれない…それでも?」
「それでも。
我慢なんてしないでほしいんだ。
私も…しないから」
エルヴィンは頷きソコだけ寛げると、急く気持ちに逆らわず、一気に貫く。
「んあっ!っぁああっ!」
「はっ、挿れただけでイったのかい?」
「だって、エル、ヴィンがっ、あっ!」
ぐしょぐしょに濡れたショーツの隙間から捩じ込むようにして入っているエルヴィン。
そんなシチュエーションは初めてで、もう何度もシているはずなのに、また別の新しい快感があることを知らされる。
「っ、はっ…
君の言った通り、もう戻らなくていい。
このまま休もう」
「うん」
ただし、たくさん気持ちよくなった後でね
たっぷりの艶を含ませた囁きに、
ナナバの奥が、またきゅっと反応する。
それは
朝まで続く
二人だけの時間の、始まりの合図
Fin