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一人だけど、独りじゃない

第1章 プロローグ


季節は冬。
街はクリスマスのイルミネーションに身を包み、キラキラと華やかに光輝いているが、世間は年末に向けて慌ただしくしていた。

かくゆう私、林 在音も、その慌ただしさに身を置く一人で、今年は残すところ15日だと言うのに、年内にお願いします。
という仕事のメールが、受信トレイに詰め込まれて行く。

「あーーー…もう、今年はあと15日しかないっつーの!!土日祝省いたら10日切ってるっつーの!」

コンビニであったかいカフェラテを購入し、いつもタバコを吸わないのに休憩に利用する喫煙所で同僚に愚痴る。

「姉さん、荒れてんねー」
「荒れたくもなるっつーの、毎日、毎日ったく」

プンスカと怒りながらカフェラテをすする。
口の中に柔らかなミルクの泡の感触と、コーヒーの味がひろがり、自然と顔がほころんだ。

「まぁ、後少し頑張りますかー」
「基本的に残業は二時間までって決めてるんだけどね…仕方ないッッ!!」

カフェラテであったまった吐息が白くなるのを確認して伸びをし、同僚とまた職場へと戻った。

空は綺麗なオレンジ色から濃紺へと変わり、
都会の明かりに負けない一番星が空を飾っていた。
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