第8章 いつか王子様に
菅「日向は自分に自信がないって言ってるみたいだけどさ、それはオレも大地も、きっとそうだと思うよ」
澤「だな、スガの言う通りだ。誰もがみんな同じだったら、それはそれでつまらないだろ?月島や影山、それから山口にそれぞれ何かがあるように、日向にしかないものだってきっとある。それを一番に好きだと思ってくれる人が、日向の一番になってくれるんじゃないかな?」
おれにしか···ないもの?
菅「日向にも、そのうち分かる日が来るって」
澤「そうだな···ところでスガ?日向の事ばかり言ってないでお前はどうなんだ?」
菅「オレ?!···あ~···あっ!もうこんな時間だ!早く寝ないとな!ウン!」
澤「お前なぁ···そういうのズルいって言うんだぞ?」
菅「じゃあ聞くけどさ、大地はどうなんだよ?」
「おれも聞きたいです!キャプテンの恋バナ!」
きっとキャプテンなら、もおれよりもっとレベルの高い話が聞けるんじゃないかと期待する。
菅「さ、どうなの大地?」
澤「どうなの?って···あっ!もうこんな時間じゃないか!ほら、二人とも寝るぞ!電気消すぞー!」
「えぇっ?!」
さっき菅原さんにズルいって言った本人が?!
呆気なく電気を消され、仕方なく布団に潜り込む。
恋の始まり、か。
まだ、実感なんてないけど···でも、始まってるんだったら、いつかは···
おれが、ちゃんと胸張って堂々と出来る日が来たら···いつかは···
そん時は、いまより少し···背が伸びてるといいな。
···明日から牛乳2本にするかな?
うん、そうしよう!
そんな事を考えていると、隣の布団から菅原さんがおれの頭をつつく。
菅「日向、オレはお前のいい所たくさん知ってる。だから···自信持てよ?」
菅原さん?
菅「当たって砕けたって、何度でも目指すものには貪欲なお前なら、きっといつか···たったひとりの、誰かの王子様になれるから」
王子、様?
「王様じゃなくて、ですか?」
菅「王様だと、影山になっちゃうだろ···だから日向は、王子様でいいんだよ。なんか素直でまっすぐで、そういう所、それっぽいし」
「はぁ···そんなもん、ですか」
菅「そんなもんです」
「菅原さんは、誰かの王子様になれましたか?」
凄く説得力ある事をたくさん話してくれたから、きっと菅原さんは誰かの王子様じゃ?