第8章 いつか王子様に
菅「春華ちゃんなら、誰にでもきっとそうすると思うよ?···ってか、縁下のヤツ···そんな羨ましい事を···」
澤「だけど、これで日向のモヤモヤの原因がハッキリ分かったんじゃないのか?」
えっと、そもそもなんでモヤモヤしてたのかが分からないんだけど?
菅「日向はさ、仲良さそうにしてる春華ちゃんと縁下を見て、ヤキモチ妬いてたんだよ」
「ヤキモチ···ですか?」
菅「そう、つまりは···日向が少なからず春華ちゃんの事を好きだと思ってるってコト!」
澤「いや、待てスガ。まさかとは思うが···縁下の方かも知れないぞ?」
菅「えっ?!日向そっち系?!」
「ええっ?!違いますよ!ちゃんと池田さんの方が好きですよ!···あ、あれ?」
おれ···やっぱり···?
いや、そんなハズは···
「だって、池田さんが優しいとドキドキしたり、笑ってるとホッとするし、悲しそうにしてるとヨシヨシってしてあげたくなるし!だから、好きとかとは違うんだと思います!」
澤「日向···あのな?」
菅「それを、恋の始まりって言うんだよ」
「恋の···始まり···?」
今まで恋っていうのが凄く遠くて自分には何の関係もないと思っていたのに。
改めて他の人に証明されると···なんだか、ムズムズして···
これが、恋、ってヤツなんだ。
なんだ···そっかぁ···
ムズムズしながらも、ストンって心に落ちて来る。
でも、今は。
「おれは、バレーが好きです」
澤「知ってるよ」
「小さな巨人になりたいんです」
菅「うん、それも知ってる」
「だから今は、誰かの一番になるっていうのはやっぱり···よく分かんない、です」
誰かを一番にして、誰かに一番にして貰う。
そもそも、誰かの一番になんて···なれるんだろうか。
「月島みたいに頭がいいとか、影山みたいに背が高いとか、山口みたいに誰にでも優しいとか、そんなのおれにはないし···きっと女子はみんな頭が良くて背が高くて優しいって、3人を一個にまとめたみたいなヤツの方が···好き···なんだと思うし···」
菅「そうかなぁ···?」
自分で自分の自信を崩していくおれに、菅原さんがそういう事じゃないんだよって、話を続ける。