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ハイキュー!! 冬休み企画!!

第7章 新年のご挨拶



「ど、どうせイタズラだろ。こんなの」

そう言ってみたけど、龍の目は笑ってない。
重々しい空気をまとって龍はゆっくりと首を振る。

「『スキ』と。そう確かに書いてあるではありませんか」

菩薩顔になった龍が、いやに丁寧な口調で言うもんだから、俺は余計にそれに反発したくなった。

だって今までアイツがそんなそぶり見せたことあるか?
ずっと隣で育ってきたのに、今までだって一度もーー。

「隅に置けませんね、西谷クン」

悟りを開いた仏さまの声音ってそんななのか分かんねぇけど、それっぽい感じで龍が言う。

「違う。コレは絶対、ただのイタズラだって」

俺をからかおうとして、とかそういう。
イタズラだと何度も口にして、そう思い込もうとしたけど。

言えば言うほど『春華はそういう冗談やるやつじゃない』って思いが膨らんでくる。

イタズラじゃないとしたら。
春華の本心だとしたら。

試合でも経験したことのないくらい、心臓がバクバクしだす。
時折胸の奥がちりちりと燻るような気がするのは何でだ。

この感情に名前があるとすれば、それはーー。

「悪い、からかいすぎたな。ノヤっさん顔真っ赤だぜ。その上に墨だらけってタコみたいだな」
「う、うるせぇ! 龍が変なこと言うからだろ!」

墨だらけで良かったかもしれない。少しは顔の赤さを隠してくれていただろうから。
顔の熱は確かに自分でも感じていた。
胸の、苦しさと共に。

「…顔、洗ってくる!」

いつも部活で使い慣れた水道で、顔を思い切り洗う。
めちゃくちゃ冷たい水に、身も心も引き締まる感じがする。
顔に集まった血も、冷たい水で一気に冷やされ、熱を失っていく。

水と一緒に流れ落ちていく墨が、排水溝に吸い込まれていった。


******

元日だというのに、烏野の校門は開いていた。
人の気配は感じられなかったけれど、夕は確かに学校に行くと言ってた。

バレー部の人達が集まるところっていったら、やっぱり体育館だろうか。
そう思い、ひとまず体育館へ向かうことにした。

体育館のそばに行くと、人影が見えた。
ニット帽のてっぺんのボンボンが揺れている。

「あのっ」

ニット帽の人に、思い切って声をかけてみた。
振り返った男子はビックリした顔でこっちを見てる。
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