第6章 君の気持ち
「...優衣ちゃんは、家で何か育ててるの?」
意気地のないボクにはまだ、これが精一杯だ。
「私?私は育ててるっていうより、作ってるの。知ってる?プリザーブドフラワーってやつ」
「ああ、花から水分を抜いて、半永久的にするってやつかい?」
「そうそう、あれが私好きでね、それを作る教室があるから、たまに行ってるんだ」
「そうなんだ」
プリザーブドフラワーか...
彼女に似合う、可愛い趣味だな。
そう考えると少し笑ってしまった。
「あ、不二くん笑った?」
「え?」
「ふふ、元気出たなら良かった。今日、あんまり元気ないなって思って」
「あ...」
幸村に試合で負けた後、何人かと試合をした。
でもボクは、幸村のある意味宣戦布告の言葉がチラついて、あまり集中出来ていなかった。
試合には勝てたけど、楽しむことは出来なかった。
彼女は、ボクを気遣ってくれていたのか...
こんなことで悩んで心配をかけるなんて、情けないな...