第4章 花
「うわぁ...」
そこには、東京とは思えない程豊かな緑が広がっていた。青々と茂る木々に、色鮮やかに並ぶ花々、真ん中には綺麗な水が張った池もあり、所々に腰掛けるためのベンチもある。
この病院には、色々な患者さんが入院している。もしかしたら、もう殆ど外に出られない人だってきっといる。
そういう人たちにとって、こういった空間は、きっと心の救いになっているのだろうな、と漠然とそう思った。
「あ、コスモスがある」
コスモスは私の誕生花だ。
ピンクや白の可愛らしい花で、自分の誕生花がこんな素敵な花なのが誇らしかった覚えがある。
「ふふ、キレイだなぁ」
「キミも、花が好きなの?」
「ひぇっ!?」
な、なななな何...え、誰...!?
驚いた私は素っ頓狂な声を上げてぴゃッと跳ね上がってしまった。