第2章 彼女の傷
優衣は、小学3年生の時にテニスクラブに入ってきた。
その時はもう俺様はクラブでトップを取っていた。
男の中でも女の中でも、俺に敵うヤツはいない。そう思っていた。
そんな時に入ってきたのがアイツだ。
小学生だから男女の体格差もあまりなくてな、俺は運動神経がずば抜けていいアイツに簡単に負けちまった。
それで俺はアイツを敵視し、同時に気に入った。いや、"気に入ってしまった"んだ。
自慢じゃあないが、俺はモテる。自分でも自覚している。じゃあ、そんな男にお気に入りの女が出来たらどうなるか。俺はそこまで考えることが出来なかった。
...優衣は、女どものイジメのターゲットになった。
女どもは隠すのがうまくてな、俺は気付くことが出来なかった。少し優衣に元気がなかったのも、ただ単に調子が悪いのかと、そう思っていたさ。
そうしてイジメはどんどんエスカレートして、遂に事件は起こってしまった。
ヤツら、優衣を階段の上から突き落としやがったんだ。
それで優衣は全治2ヵ月の大怪我。テニスを休まざるをえなくなった。
それでもアイツは強い女でな、怪我が治ったあと、またテニスクラブに顔を出したんだ。
なんで2ヵ月も休んでいたのか、理由も知らない俺は優衣が復帰したことを喜んで、アイツに構い倒した。それが悪かったんだ。女どもは、優衣自身に危害を加えても無駄だということを知ってしまっていた。
そして、最悪の事態が起こった。