第2章 彼女の傷
「不二、今日は部活は休みだ。優衣にも伝えておいてくれ」
「休みなんて珍しい、何かあったの?」
「今日、コートに除草剤を撒く日だったのを先生が忘れていてな、俺が全員に伝えている」
「あ~なるほど。分かった、伝えておくよ」
「もう聞いたから伝えなくていいよ~」
「「!?」」
急に後ろから声が聞こえて驚いて振り向くと、そこにはいたずらっぽい顔で笑う手塚さんがいた。
「いい驚きっぷりだね!」
「いやそりゃ驚くよ...いつからそこに?」
「ついさっき、かな?そうそう国光、部活ないならちょっと放課後付き合って欲しいんだけど...」
「ん?まぁいいが...どこへ行くんだ?」
「スポーツ用品店!そろそろボール替え時なのが幾つかあるからさ」
「...それ、ボクもついてっていい?」
「ん?全然いいよ、一緒に行こ」
従姉妹って分かってても、手塚さんたちが2人で放課後一緒に出掛ける、となると面白くない。
「不二...なんならお前ら2人で行くか?」
「いや手塚、君もいて欲しい」
「なんでだ...」
「2人だと緊張するからね」
「ヘタレめ...」
「?」
2人っきりだと、何をどうすればいいか分からなくなる。
そもそも女の子と話す機会なんてそんなにないのに、部活外で好きな子と何を話せばいいって言うんだ...!
「じゃあ、放課後ね、国光」
「ちゃんと来てよね?手塚」
「ああ...」
手塚が呆れたような顔でこちらを見てきたけど、ボクは何もしらない顔をして教室に戻った。