第2章 日常から非日常へ
「まだ18:30か…」
ご飯は19:00過ぎぐらいになると母親に言われた華楓は背中に“Trampoline club”と書かれた部活のウィンドブレーカーを着たままベットに座った。
「はぁー今日も1年生の特訓ばっかで私は跳べなかったな…」
華楓の所属するトランポリン部は8月に合同練習会があるのでそれまでに1年生全員がまともに跳べるようになるまで特訓をしなければいけないため、2年生である華楓はなかなか跳ばせて貰えない。
「せめて多少の運動ぐらいしたいのにな…体動かしたいし…」
スマホで“トランポリン 上達”など部活に関することをひたすら検索する華楓だったが、突如眠気が襲ってきた。
「ふぁ…なんか眠い…」
睡魔と戦おうと頑張った華楓。しかしその力も叶わず、気づいた時には瞼を閉じていた。
そして次に目を開いた時には景色が変わっていた。
「ん…ここは…?」
身体を起こして瞼を開いて見えた景色。それは奥までずっと繋がってどこが最後かもわからない黒くて暗い空間。かろうじて見えるのは半径5mぐらいの距離のみ。その空間の中には華楓とは別に2人倒れていた。
「…竜紀と…暁?」
「…華楓?ていうかここは?」
「…何で?」
華楓の声で目が覚めた2人も華楓と同様の反応を見せた。何度見ても黒い空間にいるのは3人のみ。
“あ、皆さん起きましたか?聞こえますか?”
頭に直接語りかけてくるような声が聞こえてきた。3人は周りを見渡したがやはり周りには誰もいない。
“ここですよ!ここ!”
そう言って3人のそれぞれの前に1人ずつ小さなツインテールの女の子が現れた。
「え、誰?」
何が何だか全くわからない華楓は頭にはてなマークを並べていた。
“私はこの世界システムの中に住んでいるマドカと申します!この世界とシステムについて少しお話させていただきます”
「世界?システム?何なんだよそれ」
よく分かっていないのは竜紀も同様で目の前に映るマドカに話しかけた。
"まず私なんですがこのシステムの案内人として皆様1人1人についています。そしてこの世界は皆様が住んでいる現実世界とは違う異世界となってます"
「…は?…異世界?」