第2章 日常から非日常へ
「ねーえー早く掃除終わらせよー?ね?」
「そう言うなら木更津、お前もやれよな」
「私だってやってるっての」
6月のある日の放課後、学校中には机などを動かす音が響き渡り、掃除で舞い散った埃で充満している。
「ちゃんとね、こうやって指示出して、無事に掃除を終わらせることが私の役目なの」
美化委員である華楓はクラスの掃除を毎日見張ってきちんと行わせるのが仕事である。
「かえーもうこれぐらいで良い?」
ある女子が華楓にチェックを貰う。
「うん、特に汚れてはないし…OK!」
「ごめん!遅くなった!」
ダッシュで教室に入ってきたのは華楓と同じクラスで幼なじみの宮園竜紀。
「何が遅くなっただよ!今掃除終わったところなんだからね!」
「すまんすまん!選管の仕事でどうしても行かなきゃいけなくてさ」
「そういうのは掃除が始まる前に私か暁に言うの!」
竜紀に説教をしながら同じ美化委員の暁陽二を指した。
「いや、俺ちゃんと陽二に言ったから!」
「俺はそんな話聞いてない」
「はあ?お前に言ったじゃん!」
陽二と竜紀の聞いてない、言ったのやり取りに呆れてため息をつく華楓。
「あのさ竜紀、例えあんたが暁にちゃんと言ってたとしても、暁がちゃんと聞き取れてなかったらそれは言ったとは言わないんだよ」
話を聞いて陽二は深くうなづく。
「ったく…今度からちゃんと伝えればいいんだろ」
「わかればよろしい。もう罰としてゴミ捨てぐらい行ってきな」
「いや、俺が行くから大丈夫」
華楓の言葉を遮って陽二はゴミ箱を持って教室を出ようとする。
「暁がしなくていいんだよ?こんなの竜紀にやらせればいいんだし」
「竜紀は委員会あるんだろ?行ってきていいよ」
「まじ?陽二さんきゅーな!」
そう言うと竜紀はダッシュで教室を後にした。
そして陽二も
「じゃあゴミ捨ててくる」
「う、うん」
ゴミ箱を持ってゴミ捨て場に向かった。