第4章 夢と現実と異世界
「あ、そういえば木更津さん手首の紋章は?」
思い出したように陽二は華楓に聞いた。
「そう!私もそう思って目を覚まして手首見たんだよ…でも…」
華楓は袖をまくり左手首を見せる。
「え、ない…!」
「そう、だから最初夢だと思ったの」
華楓が何度手首を見ても紋章があったような後はない。
「能力とか武器の技能は反映されないって言ってたし、現実世界では見えないだけなんじゃん?」
陽二は華楓に言う。
「やっぱそういう事かな?」
「あ、でもよ、体力とか運動神経は反映されたりするとか言ってたから今日部活行ってみたらなんか確信できるんじゃね?」
調子に乗ったように言う竜紀に対し華楓は呆れてため息しか出ない。
「じゃあさ、今日の18:30にまた昨日と同じようにすればいいんじゃん?それで俺たち3人がまた異世界に行けてたら本当だったってことで」
「おっ陽二ナイスアイディア」
「そう簡単に言うけどね…」
すると昼休み終わりの予鈴が学校中に鳴り響く。
「おってことで18:30にな!」
「またあとで」
「…ったく…能天気なんだから…」
16:10 体育館
華楓は部活でトランポリンをしている。
「華楓!今日こそ出来なかったら大会出場も危ういからね!」
「うぅ…」
部長である2年のメンバーに指摘を受ける。高校生にとって難しい技。この学校で出来るのは小学校からやっている部長のみで中学からの華楓がやるには到底出来るものではない。
「…大会出てやる…!」
勢いよく踏み切ると普段見えない景色、体を捻ってやるいつも出来ないこの技が出来たのだ。
「出来た…出来た!」
「…まじ?」
いつもの如く出来ないのだろうと見込んでいた部長は目を真ん丸にして華楓を見た。
えへへと少し照れながらトランポリンから降りた華楓はタオルで額の汗を拭き取り水分補給をしていた時ふと昼休みの会話を思い出した。
「体力は反映される…ってもしかして、あの時!」
華楓は昨日異世界で跳んだジャンプを思い出したのだ。
「だから跳べたのかな…」
「華楓!独り言喋ってないで、確率あげるように練習!」
「あっはーい!」