第3章 後編
「…あー、何やってんだよあいつ。相変わらず不器用なんだな」
ユーリが眠りにつこうとしたその時、聞こえてきた声。
まさか人がいるとは思わず慌てて辺りを見渡すが、それらしき姿は見えない。
「ごめんな、あいつ悪い奴じゃねぇんだ」
そう言ってユーリの目の前に現れた青年。
「…あ、あなたは…」
ユーリは目の前の麦わら帽子を被った青年に、身に覚えがあった。
何時の日か、夢の中で見た気がする。
「俺はルフィ!今はもう死んでっけど、トラ男が心配で偶に様子見に来てるんだ」
…死んでる?
サラッと言われた言葉に、ユーリは目を見張る。
確かに青年は幽霊のように浮いており、若干だが透けて見えた。
「まぁあいつには俺の姿が見えてねぇみたいだけど」
そう悲しそうに笑うルフィと名乗った彼。
ユーリは混乱する頭を整理するため、彼から詳しく話を聞くことにした。
「…うん、そうだな。あんたに伝えたいことがあって来たんだし」
ちょっと長くなるし、俺は説明とか得意じゃないから分かりにくいかもしれないけどそれは勘弁してな。
そう言って笑った彼の笑顔は、とても綺麗なものに見えた。
「トラ男ってローの事ですか?」
「そう、俺がつけたあだ名だ」
ユーリは取り合えず最初に聞くべきことを聞いた。
薄々感じていたがやっぱりそうだったのか。
因みにルフィはローから麦わら屋と呼ばれているらしい。
あだ名で呼び合うくらいなのだから、仲がいいのだろうか。
ユーリがそう尋ねると、ルフィは友達だと言った。
「まぁ、あいつはどう思ってたか知らねぇけど」
「…2人は何時出会ったんですか?」
「ん?1000年前だ!」
「1000…!?」
聞かされた事実に驚くユーリ。
更に話を進めていくと、1000年前は今の様に魔法とかはなく、海賊時代?と呼ばれていたらしい。
悪魔の実、海軍、海賊、ワンピース。
次々と話される話題に、ユーリは理解しようと必死に耳を傾けていた。