第2章 中編
「…あの、なんで私は拘束されているんですか?」
ローがマスターと呼ばれた男が話している間、ユーリは未だに捕らわれたままだ。
完全に足を引っ張っているこの状況をどうにかできないか、自分なりに探すことにした。
「んー?俺の意思じゃないけど、あの白髪の長い髪の男がいるだろ?彼が一応俺たちの主で、君に興味があるみたい」
男に言われるがままに視線を向けると、確かに白髪の若い男が立っていた。
穏やかな笑みを浮かべている彼だが、何故だろうか、ユーリは彼が少し怖く感じた。
「私に用ですか?それでしたらその用事を早く終わらせたいので、手を放してくれませんか?」
「うーん、取り合えず合図があるまでは捕まえるように言われてるからさ。もう少し辛抱してよ」
男の言葉にユーリは眉を潜めた。
どうやらユーリ達が近づいているのを、彼らは気づいていたのだろう。
そしてどういうわけだか、ユーリに何かしら用事ある。
気のせいかもしれないが、ローと白髪の男の話し合いが、段々エスカレートしているようにも見える。
一体何を話しているのか離れてて聞こえてこないが。
ユーリはまたもやローに迷惑を掛けてしまったと、表情を落ち込ませていた。
ローは白髪の男と話し合っていた。
話し合っていたが、一向に終わる気配のない会話に、ローのイライラも募っていった。
相手の要件としては礼拝堂へは自由に行って構わないから、ユーリを譲って欲しいという事だった。
どうやらユーリの持つ生気に気づいたのだろう。
確かに契約破棄は何時でも出来るが、こんな状況でローがそんなことをするはずもない。
話し合いは平行線が続き、ローは埒が明かないと思い刀に手をかける。
「…なるほど、そこまでして彼女を手放したくないのですか」
男は交渉が決裂したことが残念だとばかりに肩を落とした。
そして男が合図を送ると同時に、襲い掛かってくる仲間達。
「彼女は既に私の手の内にあるようなものですから、あまり派手なことはしないほうがいいですよ」
口元に笑みを浮かべながらそう言ってくる男。
こうならないように話し合いをしていたのだが、結局は一番面倒な事態になってしまった。
ローは舌打ちをすると、攻撃をかわしながら打開策を考えていた。