第2章 中編
「…っ」
ユーリが目を覚ますと、既に日が昇っていた。
暫くぼんやりとしてたがゆっくり身体を起こすと、不意にローと目があった。
「……」
お互いの間に流れる、沈黙。
ユーリは起きたばかりなのでただぼーっとしてるだけなのだが、ローはどこか気まずそうに視線を逸らした。
「……あ」
そして沈黙が流れること少し、ユーリは漸く先日のことを思い出した。
ボンッという音と共に彼女の顔が赤くなったような気がする。
「あっ、えっと、その、だ、大丈夫ですか?」
ユーリは自分でも何を言っているか分からなかった。
大丈夫かって、寧ろお前の方が大丈夫なのかと突っ込まれそうだ。
案の定、ローからそう言われた。
ユーリは慌てたように大丈夫と言うが、挙動不審な行動は変わらない。
まぁ、行為自体も初めてだったのもあるが、思い出せば思い出すほど恥ずかしくていたたまれなかった。
行き過ぎた快楽は、彼女の中でまだ根強く残っている。
噂で聞いていたものとは全く違った。
流石英霊と言うべきなのか。
「……悪かった」
ユーリが混乱する頭でぐるぐる考え込んでいると、ローが突然謝罪してきた。
ユーリは目を瞬きすると、再びあたふたし始めて気にしなくていいですと言った。
実際に気にしなくていいのは本当なのだが、挙動不審になるくらいは許して欲しい。
魔力がないからその補充方法を選ぶ自由は、彼にもある。
ただいきなりだったので、どうしてもまだ心が落ち着かなかった。
正直嫌ではなかったが、とにかくリアクションに困ったのだ。
寧ろローの方は嫌じゃなかったのか?
回らない頭でそんな余計なことを考えているユーリ。
そしてそんなユーリの様子を見ていたローは、そっとため息を吐いた。