第2章 中編
ユーリは真っ暗な空間にいた。
どこまでも続く闇の中を歩き続けるユーリ。
本当は怖い気持ちが強かったが、なぜだろう、この先にいかなければいけない気がした。
…なぁ
歩き続けてどれくらい経っただろうか不意に声が聞こえた。
ユーリは辺りを見渡すが、声の主はどこにもいない。
…トラ男のこと、嫌いにならないでくれな。あいつ、悪い奴じゃねぇんだ。
…トラ男?
ユーリは首を傾げる。トラ男が誰なのかと聞いてみると、トラ男はトラ男だと、まったく答えになってない答えが返って来た。
…あいつは1000年間苦しみ続けてる。だから…
不意に目の前に光が現れる。
眩しさに目を細めたユーリの視線の先には、麦わら帽子を被った男の人が立っていた。
彼が誰なのか、ユーリは分からなかった。
見たことのない彼。
ユーリはそんな彼に近づこうとするが、身体が動かなかった。
そして強くなる光に比例するように意識がぼやけてくる。
…助けてやってくれ。もしかしたら、おまえなら…
ユーリの意識がなくなる直前、そんな言葉が聞こえてきた気がした。