第1章 前編
眩しい光に、その場にいたものは皆目を閉じた。
それはユーリも同じである。
そして手に持っていた刀がドクンと、脈打った感覚がした。
「……おまえが次の主か。まだガキじゃねぇか」
ユーリが目を閉じていると頭上から降ってきた声。
その声に恐る恐る目を開けると、漆黒の衣装を身に纏った男が浮いていた。
黒髪の彼は白い帽子を被っており、目つきがかなり怖かった。
ユーリは彼からの視線に耐え切れずオドオドしていると、手に持っていた刀が消えた。
その刀は何時の間にか男の手に持たれていた。
「…ッチ、こいつがお前を選べとうるせぇからな。仕方ねぇから契約してやるよ」
男は刀に視線を送りながらそうユーリに言ってきた。
契約ということは、もしかしてこの怖い男の人と?
駄目だ、仲良くなれるどころかうっかり殺されそうなんだが。
って!もし彼が伝説の刀で私が選定されると言う事は、まさか…
「何ぼーっとしてんだ。さっさと後ろを向け」
ユーリが辿り着いた可能性に青ざめていると、何時の間にか目の前に男が立っていた。
「いや、ちょ、待ってください。私は英雄とかそんな…」
「うるせぇ。おれが決めたんだからお前に拒否権はない」
男は無情にもそう言い放つと、ユーリの肩に手をかけて勝手に後ろを向かせた。
「…お前の名は何だ?」
ユーリの白い髪をかきわけて、首筋を露わにしている彼。
「…ユーリ…です」
ユーリはいったい何をされるのかと、青ざめた表情でじっと耐えていた。
ユーリの首元を撫でる彼の手。
その手つきに、ゾクリとしたものを感じた。