第2章 中編
「…てめぇ、何しに来た」
ローは男の姿を確認すると、不機嫌なオーラを隠しもせずに彼を睨みつけた。
「…何って、折角助けに来たのにそんなに怒るなよ」
「必要ねぇ。邪魔するな」
「そう言われてもなぁ。もう取引は成立したし」
そう言ってユーリを見ている男。
ローは眉を潜めると何の話だと男に問いかけたが、彼は笑みを浮かべてるだけで答えなかった。
「さて、さっさと終わらせようぜ」
男はそう言うと、手をかざした。
そして足元に現れた魔法陣。
周りにいた操られていた人も、金髪の男を敵と見なしたのか攻撃を仕掛けてきた。
だけど、彼らの攻撃が届く前に次々と倒れて行く。
そして気づけば、操られていた犠牲者は全て地面に倒れ込んでいた。
「取り合えず、魔物だけさっさと殺ってよ。この人たちは俺が元に戻すから」
男の言葉にローの眉間に刻まれていたシワは更に深くなったが、一瞬にして残りの魔物を葬り去った。
まさかこの男に借りを作ってしまうことになるとは。
ローは嫌な予感がしてユーリを見たが、彼女はホッとした様子でこちらを見ているだけだった。
「…な、なんてことだ、私の傑作品達が」
そして再び現れたこの建物の主。
彼は驚愕の表情で、倒れ込んでいる犠牲者たちを見ていた。
英霊だけかと思ってたが、まさか国王の霊までも来ていたとは。
男は絶望した表情で、その場に立ち尽くしていた。