第2章 中編
「おっと、危ないなぁ」
ユーリは襲ってくる衝撃に備えていたが、それは何時までたってもやってこなかった。
そして聞こえてきた言葉。
ユーリは恐る恐る目を開けると、目の前には国王の霊である、あの金髪の男が立っていた。
男の足元で息絶えている魔物を見ると、どうやら助けてくれたらしい。
「あ、ありがとうございます。でも、どうしてここに?」
ユーリはまさか彼が来るとは思わなかったので、驚いた表情で彼を見ていた。
「いやぁ、どうなってるかなぁと思って見に来ただけ」
呑気にそう答えてくる男は、目の前で戦っているローへと視線を向けた。
「思ってた以上に苦戦してるね。ま、攻撃特化の彼なら仕方ないか」
男の言葉にユーリは首を傾げた。
「あぁ、彼が攻撃タイプなら、俺は癒し系を得意とするから」
意外でしょ?
男は笑いながらユーリが疑問に思っていることに答えてくれた。
確かにローも治癒は使えるが、本来は攻撃に特化された霊なのだろうか。
そしてこの男は、ローでも出来ない癒しの力を使えるのか?
「…さて、取引をしようか」
ユーリが考え込んでいると、何とも楽しそうに男が提案してきた。
「犠牲者の彼らを元に戻してあげる。……その代わり」
あんたの魔力を少し貰おうか。
静かに響き渡った声。
ユーリは一瞬返答に迷ったが、それだけでこの状況が変わるなら答えは一つしかなかった。
ユーリが頷いたのを満足げに見た男は、魔力は後で貰うと言ってローの元へと向かった。