第2章 中編
「…面倒くせぇ」
完全に囲まれたユーリとロー。
ユーリは犠牲者に手を出さないで欲しいと言っていた。
そしてローがどうするか考えてる間に、男の合図で攻撃を仕掛けてくる彼ら。
ローはユーリを守りながら、それを交わした。
攻撃を避けつつ、男だけを狙って能力を発動させようとするが、たいして広くはないこの空間では正直厳しかった。
攻撃をしかけてくる人物全員を殺しても構わないなら、一瞬で終わるのだろうが。
ローの攻撃範囲は広い為、彼らの攻撃を避けつつ男だけ斬るのは無理があった。
それにユーリにも気を遣わないといけない。
ローは舌打ちをすると、一旦外へ出るとユーリに伝え、一瞬にしてその場から消えた。
「…なるほど、犠牲者には手を出さないのですね」
あっさりと身を引いた二人に、男はローが犠牲者には手を出せないと気づいた。
男は2人を追いかけるよう、彼らに命じた。
男としても折角の実験体を連れて帰られても困る。
だから、例え英霊であっても、邪魔をするならば容赦はしない。
男は静まり返った部屋で不気味な笑みを浮かべると、ゆっくりとした足取りで外へと向かった。