第2章 中編
ユーリとローは暗くなった建物内を移動していたのだが、何やら騒がしくなり始めているのに気づいた。
一瞬気づかれたと思ったが、どうも違うようだ。
どうやら魔物がこの建物に集まり始めている。
どこからともなく聞こえてきたその言葉。
そして多くの人々が外へ向かっていくのが見えた。
恐らく彼らは誘拐された人々で、今から魔物を倒しに行くのだろう。
「…魔物が寄ってくるのは相変わらずか」
移動しながら静かに呟かれた言葉。
ユーリはどういう意味か尋ねると、どうやらローが目覚めると、彼を殺すためか魔物が自然と集まってくるらしい。
昔から変わらないその悪あがきに、正直うんざりしてくる。
そこらの魔物でローを殺せるはずがない。
ローはそっとため息を吐いた。
「建物内が手薄になった今がチャンスだろう。ここの主を見つけるぞ」
ローはユーリを抱えたまま移動を繰り返す。
探すといっても、彼は何となくどこにいるのか察しているような動きだった。
ロー曰く、強い魔力を感じるらしい。
本来ならユーリにも感じれるものなのだが、生憎今の彼女では無理のようだ。
その事実にユーリはそっとため息を吐く。
本当に私は何も出来ない、ただの足手まといでしかない。
過去にそのことをローに話したら、おまえはおまえの役目があると言われた。
役目が何なのかは教えてくれなかったけど。
そしてユーリが暫く物思いに耽っていると、目の前に大きな扉が見えた。