第2章 中編
ユーリが暫く考え込んでいると、突然ローが刀から出てきた。
どうやら誰かがこちらへ向かってきてるらしい。
ユーリは彼女を置いて行っていいものか迷ったが、早く行った方がいいわよと言われたので渋々ローに移動をお願いした。
そして一瞬にして消えた二人。
その様子を彼女は静かに見ていた。
「…そう、あの子が選ばれたのね…」
呟かれた言葉が部屋に響き渡る。
英霊の存在は有名なので、彼女も知っていた。
「一体彼女は、どんな運命をたどるのかしら」
彼女は静かに笑みを浮かべていると、部屋に1人の男が入ってきた。
「…すまない、魔物がこの建物に集まり始めていて…今までこんなことなかったのだが…」
どこか気の弱そうな男が、彼女に申し訳なさそうに伝えてくる。
「分かったわ」
男の言葉に彼女は即答すると、台の上から降りた。
そして杖を召喚し、外へ向う。
相変わらずなのね。気にしなくていいと私は何度も言ったのに。
男を一度も振り返らずに彼女は魔物退治へ向かった。
正直、もう私の身体はボロボロだけど、あの方が望むなら何度でも私は…
廊下を歩きながら彼女はそっと瞳と閉じた。
その瞬間、杖が赤く光る。
そして開かれた彼女の瞳。
その瞳もまた、赤く光っていた。